10月27日(火)、神奈川県の人気附属小学校である森村学園初等部の合格報告がありました。補欠の子供も含めての複数合格でしたが、繰上り合格者も多い学校ですので合格の連絡を期待しましょう。
当会では、森村学園は無宗教校やプロテスタント校の大学附属校の併願校の定番でしたが、近年当会では、他県附属の受験も増え、併願校の多様化が目立ちます。
開智や西武文理などの語学教育や、実験や実学重視の東京農大稲花小学校のような特色がはっきりしている附属小の人気が高まっており、伝統だけが特色の附属小の人気が低下していくように感じます。最近は、「授業公開をしている学校しか受験しない」と決めている保護者も増えてきており、私立附属への期待も多様化の時代と言えるでしょう。
授業公開を年二回も行ってきた森村学園は、「初めて見学して想像以上に良かった」の声もよく聞くだけに、コロナ感染予防で本年度は中止となり、その良さを伝えられなかったのは残念だったと思います。
森村学園は系列中学への内部進学率は90%ですから、系列校への内部進学でおおらかな育ちを好み、その上での大学受験の価値を理解する比較的裕福な保護者の併願校として、都心からも通学する家庭が多い理由になっています。
当会の模擬テスト(総合回)で平均点の位置だと当落線上五分五分です。神奈川の大学受験校である桐蔭学園や、受験機会の多い埼玉県の附属小と違い、男女各一日ずつしか考査を行わない為、合格可能レベルが高い位置にあることをこれまでの合格データは示しています。
そのせいか、森村学園初等科が補欠や不合格となっても東京都の大学附属に合格する例が当会ではよくあります。模擬テストの成績が良くても、初めての経験となる10月の大学・中学受験校に対する甘い考えは不合格に繋がります。その結果は、全ての学校に全力で向き合う大切さを教えてくれると思います。
考査方法は他の大学附属受験系附属小のようにペーパー以外に制作・絵画・巧緻性・運動・行動観察・親子面接…の選抜方法を広い領域から出題しています。特にペーパーは小冊子(25問以上)で出題されますから、しっかり準備を重ねておく必要があります。
当会では、青山学院や立教小、幼稚舎のような、行動観察や個別考査中心の考査方法の附属との併願が多く、青山学院や立教等の合格者がペーパー出題にも対応できる子供である事を示しています。
幕末から実業家として日本経済界と、慶應・早稲田大学や北里研究所などを援助を支えてきた創立者・森村市左衛門が、東京高輪の私邸で1910年に幼稚園と小学校を開校したそうですから、創立100周年を2010年に迎えた伝統ある小学校です。
1951年に横浜市緑区長津田町に移転し、中学、高校を創設ながら歴史を刻みました。私が若い頃、年配の方に「森村は以前東京にありましたよね、当時は…」とよく聞かされましたが、神奈川の私立附属校として既に70年近く過ぎました。
伝統ある私立校はどのような時代になっても、軸足をしっかり持った教育環境を維持しています。当会の卒業生の姿から、森村学園初等科部がその象徴的な小学校であることを確信しています。
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
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