part1では、「女性の職場」という視点で、幼児教室という職場と教師への思いを述べました。
今回は、「幼児教室は教育サービス業である」という視点で述べてみたいと思います。
幼児教室に通った経験を持つ保護者に「質問や相談のしやすい場でしたか?」とよく質問をするのですが、肯定的なお答えをされる方はごく少数です。「質問をしにくい雰囲気ではなかった」とか「保護者への講評はあるけれども、個人的な質問機会は少なかった」「有料セミナーやマニュアル配布はありましたが…」様々です。
幼稚園や小学校と違い、幼児教室はサービス業だと私は思っています。飲食業や旅館・ホテル、修理や製造、金融や証券、デパートや各種商店、映画・芝居…世の中には様々なのサービス業がありますが、全てお客様とのお付き合いを通じて多くを学ぶのがサービス業です。
幼稚園や小学校の教育現場に教育サービスを求めても無理がありますが、幼児教室は教育サービス業です。公教育ではない以上、「お客様満足度」で評価基準を決められるのは当然の結果です。ですから「もし私が保護者だとしたら教室に何を求めるだろうか?」と考えて経営してきました。
幸い私は、幼児教室や中高受験学習塾経営者の息子として、十歳の頃から教育現場を見てきました。会社等に勤務する家庭とは違う環境で育ったのです。他の各種サービス業同様、お客様である保護者と教師の接し方を目にしてきました。
また、旅行や飲食店、買い物に家族で出かける機会の多い家庭であったため、良質なサービスも質の低いサービスも両方経験してきました。また、数々の恥かしい経験や他の客の振る舞いから、客としてのあるべき姿も多少は知っていると思います。
お客様に適切なものを提供するのがサービスですが、お客様に媚を売ったりするのは真のサービスではありません。他のお客様に迷惑をかける客には厳しい接し方も必要です。病名を勝手に決めつけて治療法に口出しする患者や、その場に応じた振る舞いができない自分流を通す客には諭す姿勢も必要なのです。
「寿司職人に長期間の修業は無用」と言う意見が話題になりましたが、食べるだけの目的ならそれもあるのでしょうが、名の知れた寿司店で在り続ける理由は、寿司を握れるだけの技量だけがサービスでは無いことを経営者や職人、加えて客側も理解しているからこそなのです。
構えばかりが立派で、客の求めや気持ちを理解しようとせず、一方的な押し付けの商いをする業者も存在します。幼児教室も同様で、「入学(園)後の親子の姿の刷り込み」が典型的な例です。また「立派なマニュアルや教則本の配布」などの受験情報だけをサービスと勘違いしている教室もあります。
経験からの学びを身に着けたプロならではのサービスを提供し、満足をしていただくのがサービス業です。幼児教室は、各家系(庭)の継承者である子女を、その家庭に「相応しい人物」を育むための原点教育の場です。子供だけではなく、ご両親の成長を促す場でなくてはなりません。
原点教育に関わる教師が、私が理想とする型にはまらない指導者として良質な教育サービスが可能な人材に成長していくためには、「風通しの良い人的環境」と「指導経験・受験経験・保護者との対話に十分な時間と経験を積み重ねる」しかないのです
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
〒102-0084東京都千代田区二番町9-2日興ロイヤルパレスB1
Tel 03-3265-7774 / Fax 03-3230-4737
http://www.keishinkai.ne.jp/