千代田ビジネス大賞で「社員教育を重視している企業」として表彰され、予想外の結果である事を先日発信しました。27歳から35年以上コツコツと仕事に向き合って生きてきただけで、社員教育と言えるようなことをした覚えはないからです。私は社員を教育しようと思ったことはありません。一緒に成長しようと向き合ってきただけです。ただ、幼児教室という職場だからこそ大切にしてきたことがあります。
一つ目は「女性の職場」という視点です。
私が三十代の頃、女性が主体の職業は保育士や看護師、航空会社の客室乗務員等々であり、女性の社会進出は限られていました。幼児教室と呼ばれる私の職場は、男性が私一人で、他の十数名の職員は全て女性です。そう、幼児教室は女性が主役の職場なのです。
しかしながら、先代の頃は男性社会が長く続いてきた時代で、中年以降の職員は男性を立てる傾向がありました。加えて年長者の意向は絶対であり、若い職員の考えや行動力を生かせない職場環境でもありました。それを解消し女性が働きやすい職場環境にしていくことを大切に考えました。
私は「自己責任で職に向き合い、生き甲斐を感じられる女性の職場」を理想と考えていましたから、「意見や考えも述べないが責任を取る必要もない職場」では、若い職員の能力も行動力を生かせず、短期的には成り立っていても将来の成長を望めないと思っています。
私の教室に必要な人材は、幼児教育の基本を実践で十分に身に着け、その人ならではの指導法や向き合い方を確立した教師です。そのような人材を育てる為には、私が現場で共に働き、各先生方の持ち味や魅力を見いだし、各教師に責任を持たせる機会や場を与える事が必要だと思います。
理想を達成するには、時期も大切な要素です。
私が三十代から四十歳代にかけての頃は、先代を中心に築き上げた五地域八教室であった当会を、私の意向で麹町の二教室に移行していた時期でした。その頃、「将来の理想の幼児教室」に対する夢を日々語り合った若手の先生方が、今の主任やベテラン教師であり、現在の教室を育ててきた同志です。
受験という経験を重ねながら、いつしか保護者よりも年長者の多い教室となりました。今は再び若手が次の時代の主力になるべく経験を積み重ねています。私達年長者は若手の成長を妨げる存在となってはならないのです。
実は、「女性の職場の理想」は、「幼・小受験の母親としての理想」と共通点が多いのです。専業主婦が主体の時代も、共働き家庭が多くなった現代も、育ちや幼児教育に関わる機会が多いのは母親である点は変わりません。
現代は父親が子育てをサポートする機会が多くなりましたが、子供が幼いが故に主役はやはり母親です。その母親が「自己責任で子育てと受験に向き合い、子供の成長に喜びを感じる」
存在となる事が「幼・小受験の母親としての理想」なのです。
夫をよき理解者であり協力者にしていくことさえも、実は母親の力量と言えます。過去歴しか信用できない頑固者が多い男性である夫を変えていく為に、私達教師を上手に利用するのも奥様としての裁量です。
両親の成長は、子供を理解し的確な関わり方をするための条件ですから、母親は要となる存在です。それでも受験は夫婦の共同作業ですから、夫は奥様が思い通りに受験準備を進められるような気遣いをしながら、母子に対する立ち位置を理解した存在になる必要があることを忘れてはなりません。
さて、次回はもう一つ大切にしてきた「教育サービス業への意識」という視点についてお伝えしましょう。
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
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