泰明小学校校長の「服育」という興味深い言葉について。

「服育」という言葉が突然メディアに登場してきました。

 

「食育」の大切さは、近年様々な場で語られていて、特定の私立附属に子供を通わせる大切な理由の一つになっていますが、今マスメディアで話題になっている泰明小学校の「服育」という造語について考えてみましょう。

 

先ずは、標準服をアルマーニデザインに決めた和田校長の「平成30年度からの標準服の変更について」と題した保護者向けの文書からその真意についてまとめてみましょう。

 

・自分は泰明小の一員であるから、ふざけた行いはしないと自戒できる児童を我々は育てたい。そして地域の方々の協力の下、「街との絆」を感じながら泰明小で学んでほしい。銀座の街あっての泰明小学校であり、そういう学校で我が子は学んでいるということを意識して欲しい。

 

・泰明小学校に期待する故に選択された筈なのに、「子供達の日常の振る舞い」「言葉遣い」「学校社会という集団の中での生活の仕方」などから、どのような思いや願いがあって本校を選択されたのかが分からず、思案に暮れている。

 

・特認校制度の対象校とはいえ、泰明小学校はやはり特別な存在であり、学び舎の気高さや気品ある空間・集団への凝集性とか、帰属意識とか、誇りとか、泰明小学校が醸し出す「美しさ」は保っていかなければと、緊張感をもって学校経営をしてきた。


・泰明小学校の在るべき姿として私が思い描いていることとはかけ離れた様子、事実があることは否めない。なぜ、本校を選択されたのですかと問い返したいと思う出来事や対応が多いこと、これが泰明の実態だったのでしょうかと、学校を管理する者として思い悩むこともしばしばである。

 

・標準服を変えれば私の危惧することが消えるわけではないが、教育は内面の耕しであり、そこに学校教育の質が問われるべきであると思っている。どれかのスイッチを押さなければ、泰明小学校は、ただ特認校の選択肢の一校になってしまうのではないかと私は危惧している。

 

・ビジュアルアイデンティティーという概念での泰明の標準服を身に付けているという潜在意識が、学校集団への同一性を育み、この集団がよい集団であって欲しい、よりよい自分であるためによい集団にしなければならないという学校に対する誇りが、自己の存在と重なって芽生えてくるスクール・アイデンティティーに昇華していくと考えている。

 

・ブランドに拘ったり、志向したりしているわけではないが、泰明小学校も銀座のランドマーク、銀座ブランドである。〔学校には当てはまらない言葉かも知れませんが〕街の歴史とともに存在するある種のトラディショナルブランドだと思う。

 

・銀座の街のブランドと泰明ブランドが合わさったときに、もしかしたら、潜在意識として、学校と子供らと、街が一体化するのではないかと、また銀座にある学校らしさも生まれるのではないかと考え、アルマーニ社のデザインによる標準服への移行を決めた。

 

・なぜアルマーニ社かということについては、他のブランド社にもアプローチをしたが、受け止めてもらえなかったというのが結論。ただ、アルマーニ社だけが、思いを聞いて下さり、3年前から、遅い歩みではあるけれども話が進んでいた。販売ルートの確保や生産ルートの開拓まで、社としては初めての試みながら、懸命に努力を続けた上に、生地、縫製も日本のメーカーにしてくださった配慮がありがたい。 

・泰明小学校は公立の小学校として、開校以来ずっと銀座という地域との結びつきを大切にしてきた。時代の流れと共に銀座という街はどんどん発展し、日本を代表する商業地域として現在は多くの外国人観光客を受け入れる街となっている。


・そうした国際色の強いエリアに立つ小学校として、地域に根差し、さらには国際的な視野を持つ人材を育てていきたいという思いをもってきた。標準服とは児童が毎日着るものであり、そうした身近なアイテムだからこそ、それを通してきちんと装う事の大切さを感じることも、国際感覚の醸成に繫がると思う。


・視覚から受ける刺激による「ビジュアルアイデンティティー」の育成は、これからの人材を育てることに不可欠である「服育」という重要な教育の一環であると考える。さらに、遊びの時に無造作に脱ぎ捨てられていることが多いので、きちんと折りたたんでから遊びに行くとか、背もたれに掛けておくといった一手間の大切さも教えたいと考えている。


・平成30年度入学の新一年生から着用することとし、上学年の児童については、様々なご要望があると思われますので、ご関係の方々と相談をさせていただきながら決めていく。新一年生の入学者が決定した時点で、改めてお知らせするが、意を尽くせているかどうか心配なので、ご不明な点があれば学校宛てにご連絡くだされば幸い。
 

実際の文章は丁寧な言葉遣いで述べられていましたが、以上抜粋の上でまとめてみました。

 

私はたまたま銀座の老舗を家業としている知人・友人やお客様との接点が多いので、彼らが推進役となっている「銀座ブランド」が雑誌などを賑わしているのを最近よく目にします。

 

 所謂、銀座の「若?旦那」と呼べる連中ですが、その銀座ブランドが泰明小学校という特認校制度の対象校である公立校の校長の言葉に出てきたことが興味深いわけで、まるで私立附属小学校の校長のような発言ですが、理解不能というわけではありません。

 

しかしながら、教育者である尾木ママの「公立であれば税金の公金を使っているわけですから、地元の地域の一般的な意向を集約するのというのは当たり前だと思うんです。貧しい方、絶対に来られないですよね泰明小学校に。選べないんですよ。自らハードルを高くして来れないようにするっていうのはいかがなものでしょうね」というコメントも至極当然だと思います。

 

実際、泰明小学校に通う児童の中で標準服を着ていない子は「ほぼいない」(教育委員会)という状況なのが驚きですが、これが公立の名門校の姿というものなのかもしれません。かなり以前に「海外のエリート層が、幼少期に上質で高価なブランド品を身に着けさせる意味」についてブログで述べたことがありますが、名門校とはいえ公立小の泰明小学校が、学校において着用することが望ましいとされる「標準服」に特定のブランドを選ぶ事が、「公立らしさ」であるのかについては疑問が残るところでしょう。

 

しかし財務大臣の発言じゃありませんが、「九万円か…高いなー!できれば六年間サイズ変更無しでお願いします!」と思う私は、庶民であることの証でしょうか…

 

標準服:学校などの組織において、所属者が着用することが望ましいとされる服装。ただし制服とは異なり、常時着用の義務はなく、推奨されるに留まる。

制服:学校・会社など、一定の集団や団体に属する人が着るように定められている服装。ユニホーム。

 

標準服は、学校が推奨する色やモデルのことであって、指定する販売店で売られているものでなくてもいいし、自分で裁縫したものでもいいし、本人がいやなら着なくても、学校が強制する類のものではない。実際、学校が示している標準服を着た子どもと、私服の子どもが一緒にいる学校も存在する。制服か標準服か、どう位置づけるかは、原則各校の判断に委ねられている。

 

中央区では、通学区域により住所に基づいて就学校を指定しています。
特認校制度とは、この通学区域を前提としながらも、施設に余裕のある学校を「特認校」として指定し、その特認校には通学区域に関係なく、希望により就学できる制度です。平成30年度は4校を指定しています。(全16校から自由に選択できるものではありません。)
【対象者】
中央区内在住の平成30年4月に小学校新1年生となる予定のお子さん
(中央区在住者以外は、申込みできません。)
【就学の条件】
特認校への就学にあたっては、次の条件を満たす必要があります。
1.学校説明会へ参加すること
2.児童とその保護者が、就学を希望する特認校の教育方針に賛同すること
3.児童が特認校へ自力で通学すること(自転車通学は禁止されています。公共交通機関での通学については、保護者の責任で、安全確保ができる方法で通学できることが条件です。)
4.児童が特認校へ卒業まで通学すること

中央区のHPから抜粋

 

 

     麹町慶進会 塾長 島村 美輝 


102-0084東京都千代田区二番町92日興ロイヤルパレスB1
     Tel 03-3265-7774 / Fax 03-3230-4737
                                              

     http://www.keishinkai.ne.jp/


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

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