年が明けて、早いもので既に14日が過ぎました。14,15日にかけて今季一番の寒波襲来だそうですが、元気一杯の子供達の姿を眺めていると寒さも忘れます。
私は、「薄着だねー!」とよく驚かれるのですが、ジーンズがポピュラーでは無い時代だったとはいえ、小学校六年間を通じて長ズボンを穿いた記憶がなく、母親が私に長ズボンを穿かせない方針が寒さに強い躰に育て上げただけで、特別私が忍耐強いわけではないように思います。
ヒートテックのようなインナーの上に、よくそれだけ重ね着が出来るな…と思えるほど着ぶくれ状態の若者を横目に見ながら歩くことも多いのですが、やせ我慢とは無縁の育ちを現代の若者はしてきただけで、忍耐強くないとは言えないかもしれません。
ところで「忍耐」という言葉が最も似合う男優といえば高倉健さんだと思います。昨日、東京駅ステーションギャラリーで催されていた毎日新聞主催の「高倉健追悼特別展」に足を運びました。やっと最終日に訪れることができた安堵感に包まれながら、せっかちな私にしては異例の一時間半という長時間、健さんと向き合ってきました。
・「当時のスチール写真とポスター」
・「台本」(鉛筆書きの「高倉健さんへ」の文字が鮮明な傷みのない台本)
・「出演作品205本を、デビューから一年毎に仕分けして繋いだショートムービー
この追悼特別展は全日予約制で、何故ゆえに予約制なのか?という疑問もあったのですが、展示の中核である、全てを観ると二時間というショートムービーを通じて健さんの魅力をじっくり味わって欲しいという主催者の思い故のことだと納得しました。
しかしながら健さんの映画をダイレクトに観ていない若い世代が、「忍耐強さ」や、現代ではまず見かける事がなくなった「男気」を200本以上の出演作を繋いだショートムービー上の健さんの姿からイメージするのは難しいでしょう。
虚構の世界である映像上の健さんの姿と、ネットや書籍等から伝播されてきた実社会の「高倉健伝説」が重なりあうかどうかは、数日間仕事でご一緒させて頂いた経験しかない私に語る資格はありませんが、「謙虚で偉ぶらない人柄」と「心のこもった気配り」の印象が強く、私の持つ忍耐強さのイメージは全盛期の映画から刷り込まれたものかもしれません。
健さんの一生を追い続けた一時間半の時は、いつしか直立不動の姿勢で直視させるだけの襟を正すものがありましたが、ライトアップされた東京駅の丸の内北口を出た瞬間に、寒さで背を丸めたいつもの私に戻ったのは言うまでもありません…
鉄道員(ぽっぽや)のホームで佇む健さんの姿を思い浮かべながら、布団にくるまって寝ることにしましょうね…
麹町慶進会 塾長 島村 美輝
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