「早生まれは下駄を履かせてくれるという誤解」

2023.02.15
島村美輝の合格バイブル

小学校受験準備をブラッシュアップ

「早生まれは下駄を履かせてくれるという誤解」

「早生まれは下駄を履かせてくれる」

この発言、この仕事に就いて以来、絶えることなく聞き続けてきました。

誰が発信元なんでしょうね？やはり早生まれの子を持つ親でしょうか…？

発達が遅いために、不合格になったと結論づける　教師でしょうか…？

早生まれの定義は、１月１日～４月１日生まれの子供ですので、１２月生まれの私は早生まれではありません。

でも１２月生まれは筑波大附属の受験で私が本考査に進めたとして、男子Cグループです。１２月～３月生のグループで受験をします。このような国立大学附属の分け方は、一年を三分割して理解しやすく、しかも１２月生れは発達が遅いケースが多いので現実的だと思います。

当会の総合模擬テストでも、同出題で行った模擬の通算総合成績をA(４月２日～７月）・B（８月～１１月）・C(１２月～４月１日）の三つのグループに分けた過去の得点データ公開しています。

幼稚舎も二～三ヶ月月毎の生月分けの男女別グループ分けで、数日かけて考査を行っているのはよく知られています。

学習院初等科でも生年月日の遅い順（上記の筑波でいえば、早生まれの１月でしたら初日。10月生まれでしたら二日目）で考査日が異なります。

上記のようなタイプの附属は、初日から最終日まで同じ出題内容である学習院初等科などを例外として、傾向は類似しているけれども、生月グループ別に難度の差をつけた出題をしています。

「早生まれは下駄を履かせてくれる」というのは、上記のような附属ではなく、全ての子供が同条件の考査内容を一日で行う、ミッション系附属校の受験者の間でよく言われているようです。

「受験時刻は異なっても受験生全員に同内容の考査を行う。」とてもフェアな方法ですが、十枚程度のペーパを含む総合力判定重視の附属校が多いので、発達の遅い子供を持つ保護者が、「早生まれなのだから点数を上乗せして欲しい」という強い願望を持つのは無理もありません。

経験からいうと、残念ながら下駄は履かせてくれません。早生まれの子供で、そのタイプの附属小に合格する子供は、発達が早い事が当然と思われる生月の子供と比較すると、見かけでは小学校高学年まで幼いであろうことを予測出来てしまうような例もありますが、考査等での得点差はありません。下駄を履かせるような思いが多少あったとしても、大きな影響があるほどではないでしょう。

優秀な子供は、体格や大人度の差を克服するかのように的確に指示をこなします。特にペーパー重視の附属は高い思考力を持つ子供を選ぶことを主眼としているのですから、体格差等の見た目に教師が騙されるようでは困ります。数年後には追いついてしまう「見かけの発達差」とは異なる条件で、子供の魅力を見抜く眼力は優秀な教師の条件です。