小学校受験準備 模擬テストの評価に対する考察⑷ 個別テスト②

今回は、面接以外の個別テストが何故利用されているかについて述べましょう。


前回、「ご家庭で最も準備しにくいのが個別テスト対策学習かもしれません。」と述べました。というか、GW前ぐらい迄の時期だと全く手を付けておらず、ほぼペーパー中心の学習で済ませている家庭も多々あるのかもしれません。


反対に学習院、成城学園、青山学院…のような、知育発達をほぼ個別形式だけで検査するタイプの附属を第一志望にしている家庭では、過去問から個別問題を調べ、工夫して学習していると想像できますが、今度はペーパー学習の頻度が極端に少なくなっていることでしょう。


また、幼稚舎や横浜初等部、立教小、早実、成蹊…行動観察重視の附属小を第一志望にしている家庭の中には、ペーパーや個別など出題されないものを準備しても仕方がないとでも言わんばかりに、数々の受験体操や受験絵画の人気教室を渡り歩く日々を繰り返している家庭もあることでしょう。


過去問を中心に学習する習慣は、中学受験以降の受験を経験した方にとっては無駄の無い有意義な方法であったかもしれません。でも小学校や幼稚園受験の準備はそうはいかないのです。


最終段階で過去問中心の学習になるのは無理もないですが、考査で判定しているのは、「小学校や幼稚園で伸ばす為に身につけておくべき能力」であることを皆さんはお考えになった事はありますか?

だからこそ、総合的な魅力を持つ子供を求めて、横浜雙葉や田園雙葉、目黒星美のように長時間子供を観察する考査を行う附属小もあるのです。しかしながら多数の子供が受ける現場では、それぞれの附属が持ち味となる検査手法を用いて、短い時間で判定せざるを得ないのが現実です。


私は、個別考査で出題される問題の70~80%はペーパーの焼き直しの発想で出題されていると思っています。例をあげれば、「数量領域」の大半はぺーパーを使わずとも、机の上に具体物(数が比較できるような物)を並べて出題して、具体物を操作させたり、口頭で答えさせたりすれば、ペーパーと全く同じ内容を検査することが可能です。


ペーパーのように一度に数多くの同系問題を出題することは難しいのですが、その代わりに生活していく上で実際に役立つ発達を身につけているかどうかを、少ない出題量で判定することが可能となります。


まるで、「机の上の学習で学ぶ数学なんて生きていくのに不要でしょう!」などと言い放つ数学嫌いの学生の味方をするようですが、幼児の場合は、小学校高学年以降の専門的学習ではなく、低学年の間に学ばせたい「生きていく為の基礎学習」を行っているのですから、筆記用具無しでも検査できる出題は本来主体的なものなのです。


その点を理解されていないから(もしくは幼児教室からレクチャーされていないから)、偏った学習ばかりを繰り返したり、減点主義の指導に終始してしまうのです。


基礎学習でペーパーを利用するのは、使用しやすい教材環境が整っているのですから大いに利用すべきです。個別出題や行動観察・指示行動・絵画制作はその延長線上にあるのですから、基礎段階の途中から、出題方法や解答方法を工夫して家庭学習をされるべきです。


残りの20~30%は言語系や創作力、巧緻性、生活力etc.のようなペーパーを利用するのに不適切な分野です。これらは特にEQ能力を検査するような出題で、面接考査と同様に人としての魅力を判断する大切な分野だと考えて下さい。


社会性の無い大人が増えている世の中です。人気の理系女子もコミュニケーション能力や社会性を身につけていなければ、せっかくの能力も役に立ちません。


その原点となる社会性の発達を育む基礎教育は、偏りの無いバランス良き学習が不可欠なのです。それが、実は本番の考査で力を発揮できる子供の条件であることを保護者は理解すべきです。



        麹町慶進会  塾長 島村 美輝         
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