志望校・志望園を選ぶ視点⑹　 

幼稚園篇②　ミッション系附属

A:自然体でいられる園

B:気持ちの切り替えを必要とする園

子供の魅力を十分に出し切るために、上記のＡＢの園のタイプを見極めておく必要性を前回お伝えました。今回はミッション系附属を選択した時の絞り込み方について考察してみましょう。

国内に220以上ある私立附属小や系列幼稚園の中でも、ミッション系附属幼小は私立らしい私立であり、女子校や男子校の別学も多いので目立つ存在です。

教室内外でミッション系附属出身者と対話を重ねてきましたが、福岡雙葉、静岡雙葉、小林聖心、湘南白百合、函嶺白百合…のような東京から遠く離れた地域のミッション系附属出身者や保護者との対話も多く、在京の系列校との共通点だけでなく違いも学ばせて頂きました。

宗教経験の薄い方には、ミッション系附属幼稚園は理解しづらいものと思いますが、救われたい等の思い故に自主的に訪れる教会と、宗教に深く関わってこられたシスターや先生方の人的影響を、親子共に日々授かる幼稚園とが異なる場であることは、宗教経験の薄い方でも理解できると思います。

母校である附属幼稚園や小学校に、我が子も通わせたいと思う出身者の割合は高く、親の意志で入園（学）した母校の影響力は極めて高いと感じざるを得ません。

勿論例外が無いわけではなく、出身者の約半数が我が子は通わせたくないと思う附属も存在します。

これは前回の「Ｂ：気持ちの切り替えを必要とする園」に順応しきれず、長い期間我慢を強いられた為に生じた思いなのでしょう。

しかしながら歳を重ねて40歳以上になると、あの厳しさが自身の人間形成に大きな影響を与えたと好意的に理解するようになるのも面白いところです。

出身者のご両親からすれば「家系に相応しい育ち」もしくは「家系に無かった育ち」を我が子に与えたかっただけなのですが、親の思いを理解するのには時が必要だということなのでしょう。

現代の平均的な家庭の育ちでは身につきにくくなった立ち居振る舞いや、自分にストイックな姿勢、物を大切にする習慣、学習意欲の高さ、目上の方々に対する気配り…を求めてカソリック系附属幼稚園を志望されるご両親は近年目立ち、理系文系にかかわらず高学歴の保護者層に特に好まれる傾向にあります。

豊富な行事や課外活動を通じて備わる行動力や社会性、宗教教育を通じて育まれる他者への思いやり、ありのままの姿で育つ…プロテスタント系附属幼稚園は、他者との交流を好む経営者や外資系企業に勤務する家庭に好まれる傾向にあります。

ミッション系附属幼稚園の中で、カソリックとプロテスタントどちらの濃い影響を望むかは自由ですが、人気に惑わされず自分の気持ちに正直な選びをして欲しいと願っています。